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クレバスと炸薬亭

映画や本、お芝居などのレビューを中心にやってくよ。

亡者たちの青春群像(オカルティック・ナイン)

これってきっとタランティーノの『ヘイトフルエイト』とかギャング・オブ・フォーとかから来てるのだろうか。なんとなく。

 

最後に数字が来るタイトルななぜか無条件にカッコイイような気がするのはわたしの好みだが、同意される方も多いんではないだろうか。

 

オーシャンズ11とかキャッチ22とかもいいよね。

 

タイトル通りのオカルトが前面に出て楽しい作品です。しかし、オカルトの語源は「隠されたもの(だったよね?)」なので前面に出てしまうとオカルトではなくなってしまうところがジレンマだな。

 

ともかく都市伝説やらオカルト板のネタやらが随所に散りばめられてて知ってる人には「おおっ!」となること間違いなし。名作シュタインズ・ゲートでアニメ・ゲームともにお世話になったわたしには避けては通れない作品であります。

 

毎週アニメを追っかけていきますと、これも平行世界(死後の世界)や時間線を巡る話になるのかなという感触がある。またそれか、とがっかりするわけじゃなくて、ひとりの作家は結局は同じテーマを巡るものだと思っているのでそれはそれで歓迎です。

 

何度も見返さないとわからない細部の謎や伏線などもあって重層的に楽しめるアニメであることは間違いなし。

 

吉祥寺という実在の地名も「吉祥」という縁起のよさから遊離し、不吉でおどろおどろしいオーラを纏い始めるでしょう。この物語の謎とは、たぶん、誰もが本当の任務や使命を明かされていないことです。あるいは本当の運命を。

 

視聴者だけが知らない場合もあれば、彼自身さえ知らない場合もある。さらには自分の命の在処だってわかってやしないのである。でもでもでも、それを笑えるほど、わたしたちもそれらを知りつくしているわけじゃない。

 

もっと言えば、自明のものを自ら覆い隠して「オカルト」にファイリングしてしまっていることもある。「意識」や「自然」とかってのも手垢のついた概念だけど、実際それについて何を知ってるかといえば心もとない。

 

シリーズ中盤でわかるある事実は、衝撃的だけど、それは人類の大いなる慰安にもなるだろう。ついでに野崎まどの「KNOW」にも触れたいが今日はここまで。

 

 

師走を完走せよ

キャッチ&リリースの巻(雑感)

貧弱もやしっ子の瘦せ型なのでずいぶんな冷え性だ。

 

すでに重ね着は半端ないし、ヒーター暖房等のフル稼働している。さらには布団乾燥機で布団の中の足元を温めながら寝ている。

 

こういう体質もあって南国への憧憬は募るばかりだ。赤道付近の常夏の国に永住したいなと思っている。「南」はいい。だいたいそこらへんにフルーツがなってて働かなくても餓死しない←勝手なイメージ。

 

地球は温暖化しているという説もあれば寒冷化しているという説もある。私は温暖化に与するものだ!!! 願望だけどね。ともかく寒くていいことなんてひとつもない。動きは鈍るし、活舌は悪くなる。寒い野外からかえってきていきなりおしっこをするとキーンと尿道が痛いことってありませんか?

 

ロシアでは寒さを抗するためにウォッカをがぶ飲みし、相当な数の男たちがアル中でなくなっていくらしい。あーやだね。

 

この季節は、仕事以外は外出せず割と自宅にてぬくぬく過ごすのが吉である。と、いいながら本日も飲みにいくのですが、できればおうちで過ごしたい。金もかからぬし、経済的だ。

 

そんな時に読みたい本、見たい映画など、いろいろあるが、なるべく人生の貴重な時間を潰せる大作がよい。シリーズものも悪くない。

 

でさ、hulu解約したら、ゲームオブスローンズのシーズン6が放送されるという報が入り、動揺している。5のラストはすげーところで終わったもんな。うーん。うーん。悩ましいシーズン6を観終わるまで再加入するべきか否か。

 

あと紛らわしいがNetflixでやってるブラックミラーとブラックリストというドラマもすごくいい。観終わったら詳しくレビューするつもりだが、ま、額面通り、どちらもブラックである笑

 

前者はテクノロジーをシニカルに扱ったSFドラマかな。トワイライトゾーン世にも奇妙な物語のような一話完結もので、凝縮された面白さがある。ほとんどハッピーエンドがないという後味の悪さもいい。

 

後者は羊たちの沈黙のドラマ版といったところか。FBIプロファイラーと希代の犯罪者が微妙な絆を保ちながら共闘するといった物語。まだ見終わっていないので謎だからけです。

 

今年もわずかだが、なんとか本分を尽くさねばなるまい!

 

ディストピアの完成(3%)

ロッド&リールの巻(レビュー)

またまたNetflixもの。

けれど、映画ではなくドラマ。しかも未来もしくは平行世界のブラジルというかラテンアメリカが舞台らしい。

 

アマゾンのあたりという説明が作中一度だけあるのと、話してる言葉がどうやらポルトガル語だというのだけはわかる。

 

貧しい97%と選ばれた3%で分割された世界。3%は「島」と呼ばれる楽園に住んでいる。とはいえ、彼らとてはじめから島に住んでいたわけではない。20歳になると受けられる厳しい試験を勝ち残ったものだけが移住できるというわけ。

 

97%の方は絵に描いたような貧しい生活をしている。わかりやすいゲトーなバラックが立ち並ぶ超下流社会だ。誰もが3%に入ることを夢見ている。

 

その試験をプロセスというのだが、そのプロセス最高責任者と受験生たちの複雑なドラマがわずか1シーズンの中で凝縮して物語られる。

 

ドラマの機微はさておき、美術やガジェットがとてもいい。清潔でシンプルなミニマムなデザインは島とプロセスに属す。彼らの服は左上腕部が十字型に切り取られていてそこには予防接種の痕がある。

 

それが3%の印となる。

 

その聖痕の意味はラストで明かされるのだが、どうだろう。言われてみればそうだとしか言えない合理的な世界が島なのだ。腐敗や堕落の原因である世襲制を禁じるために島の始祖たる人間たちが選んだ手段とは?

 

結果的に島が通常の意味での楽園でないことがわかる。それでも島を選ぶ者もあれば、もう一度元の生活に戻る者もある。

 

このドラマにおいて美しい形でディストピアが完成している。残酷で潔癖ではあるが、悪はそこにない。悪がいないだけにむしろ余計に残酷な世界かもしれない。

 

こういうディストピアものは現実だといけ好かないが、フィクションとなると途端に好物になる。いや、いまや、現実世界が相当なディストピアなんで、フィクションの世界に押し込めておけば安心できるのかもしれない。

 

アメリカの富の半分以上をわずか1%の富裕層が握ってるんだっけ?

 

このドラマ以上のディストピアがすでに成立してる以上、まさに生ぬるい物語とも言えるのだが、そこはキャラクターの多面性や情念、裏切りなど、まさかこいつが!という展開は盛りだくさんで大好きでした。