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クレバスと炸薬亭

映画や本、お芝居などのレビューを中心にやってくよ。

ロッド&リールの巻(レビュー)

黄金を抱いて翔べ!/何いちびっとんねん

金は金属の中でもとっても重い物質だ。 抱いて飛ぶには荷がかちすぎる。そんな突っ込みを踏まえたうえで、不可能性を押して「翔ぶ」しかない ! 高村薫原作、井筒和幸監督のクライムムーヴィー「黄金を抱いて翔べ」であります。 銀行の地価に眠る何トンとい…

レンズの倍率 悲劇か喜劇か?

こんにちは佐伯祐三です。 昨日まで僕のことは知らなかったって? ごめんなさい。知りませんでした。でも、大丈夫、もうちょっとだけ知ったから。 若くして死んでしまった画家、パリに渡り、その地で精神の病を患い、最後は入院中の食事を拒絶し衰弱死したと…

COMPLIANCE | コンプライアンス -服従の心理-

それはファーストフード店にかかる一本の電話からはじまります。 いいえ、物語の序章として、冷蔵庫の閉め忘れや、ヴェッキーの恋多さ、店長サンドラの婚約者などある程度の情報がなにげなく店内の様子として開示されます。 でも、本当の物語はその一本の電…

その夜の侍/真空パックされた仇討ち

その夜の侍。 昨日ひょんなことから時間ができたのでビデオ屋に行ったところ、借りたかった『ジャンゴ』も『ウィンターズ・ボーン』もなかったのでこの作品を借りました。 これは演劇の映画化らしいのですが、僕の知っている演劇っぽい要素というのはあまり…

C/フィーチャー・イズ・マネー

たまーにありますが、途中経過でのレビューです。最後まで鑑賞していない作品を評してレビューと言えませんが、それでも待ちきれない、口から出かかっている言葉があります。アニメ「C」です。これはとっても楽しめる、そしてためになるお金のストーリーで…

曽我蕭白!!!

本ブログのタイトルは「エビで龍を釣る」ですが、こんな龍が釣れたらはっきり言ってパニックになるでしょう。大迫力です。 これは江戸期の画家、曽我蕭白の筆によるものであります。 曽我蕭白の名はこの間ベーコン展にいっしょに行った日本画に取り組む女の…

四畳半神話体系(アニメ版)/無法者には一畳でも広すぎる

アジカン主題歌のアニメです。 アジアン・カンフー・ジェネレーションですね。エイジアン・ダブ・ファウンデーションと間違えやすいので注意。僕はどっちも好きです。 舞台な京都。キャストは大学生たちです。京都いうロケーションと学生という浮ついた設定…

アンチ・ヴァイラル/ケロイド状の聖痕

シネマテークで『アンチ・ヴァイラル』を観ました。 予告編でどろどろぐちょぐちょの映像を覚悟(期待?)していたのだが、実物は思ったよりもスマートな映画でした。 セレブ崇拝が行き着くところまでイってしまった未来のストーリー。 セレブの罹患したウィ…

フランシス・ベーコン展/広大な密室の日付のない午前ちう

豊田市美術館で観てきました。 フランシス・ベーコン展。すっごくよかったです。 絵を観て感動のあまり、泣くとか、恍惚として時間を忘れるとかね。無防備に、その手のことをのたまう人を見るにつけ「なにを大げさな、絵よりそーゆー自分に浸ってんじゃねえ…

貴婦人と一角獣展/一角獣の嘶き

以前の記事でも紹介しました「貴婦人と一角獣」展行ってまいりました。 昨日は予想されていた雨も降らず、東京はとても暑い一日でしたね。 名古屋から冷房の効きすぎた新幹線の中から一転、いきなりの温度差に少し体がびっくりしてました。 それにしても六本…

霊眼/ファーストアイ

古本屋さんで300円で買ったミステリ『霊眼』です。 はい、全体的にくらーいトーンで一晩で読み終えたのですが、背筋がぞっとしました。この本はおそろしい心霊世界、どろどろした前世よりの宿業など、夏には早すぎるオカルト度で、読後カキ氷を急いでかき…

リアル――完全なる首長竜の日/知恵の輪

最寄の映画館が映画男性1000円の日だったので、観てきました。 完全なる首長竜の日。黒沢清監督。佐藤健&綾瀬はるか主演です。 これはいわゆる意識内へ飛び込むインナーワールドアドベンチャーもの(?)です。 夢の中の攻防が繰り広げられるインセプシ…

ファイト・クラブ/今日は死ぬにはいい日か?

「今日は死ぬにはいい日だ」 ヒクソン・グレーシーの有名なセリフ。試合前にこのように執着を切るのでしょう。 この先も、これまでも、すべての連続性をいったん断ち切って、いまこの瞬間にすべてをつぎこむ。 何百戦かわかりませんが、伝説的な強さを誇る格…

ヤンヤン夏の思い出/じいちゃんたちが死んでいく

「カップルズ」「恐怖分子」「クーリンチエ殺人事件」などで知られる台湾の映画監督エドワード・ヤン監督が死んでしまった。もう随分前のことになるのだけれど。 素晴らしい傑作の中でも「ヤンヤン夏の思い出」は特に好きな作品でした。 おじいちゃんと孫の…

アシュラ/野生の慈悲

僕が講師をやっている授業では、たまに既存の映像作品を鑑賞して、みんなで分析する。 今回は問題作『アシュラ』でした。 これはジョージ秋山原作の漫画からのアニメ化。 平安末期の飢餓の中、狂女の子として産み落とされた子アシュラの物語です。 マガジン…

ワンダと巨像

近頃、めっきりゲームをやらない僕ですが、マザーシリーズに続き、とても思い出と愛着のあるゲームが『ワンダと巨像』です。 昨日リンカーンをyoutubeで見てて、おれの一品というメンバーがおのおの自分の愛用するアイテムを披露するコーナーがあるのですが…

SINK(いがらしみきお)/平衡感覚

見慣れた日常が揺れる。 滞りなく、退屈にそれでいて気ぜわしく繰り返す毎日にノイズが走る。 ホラーのはじまりはいつもそんな感じ。それは不幸や災厄の予感。 あの物陰から、あの隙間から何かが忍び寄ってくる感覚。 「ぼのぼの」など癒し系漫画で有名ない…

約束

ネットでこんなのを見つけました。 KEEP WALKINGという企画らしいのですが、何人かの作家が短編映画を撮っています。 その中でも塩田明彦監督の「約束」がとても素晴らしかったです。 それぞれにの作家がKEEP WALKING=歩き続けるとい…

ザ・ビーチ/カーツ大佐の分身たち

TSUTAYAでエヴァンゲリオンQをレンタルしたついでに僕は「ザ・ビーチ」(中古300円)を購入したのだった。 エヴァQは????だったのだが、ザ・ビーチはすごくよかった。胸が切なくなる。 みんな大好きディカプリオ主演。監督はダニー・ボイル…

スウィングキッズ/イケててもイケてなくても行け!

10代から20代にかけて観た映画はどれも印象深いものがあります。 必ずしも名作というわけではなくても、当時の自分の心象を共振するような作品を無意識に選んでいるため、ハートにいまも突き刺さってんだね。 そーなるとね、いきおいアンバランスで禍々…

星を継ぐもの/J・P・ホーガン

本格的なミステリです。 ジャンルとしてはSFなんですけど、むしろミステリ要素によって人を惹きつける作品でしょう。 発表当時謎とされた宇宙や人類の「?」を埋めるかたちで物語は壮大で緻密、そして感動的な結末を用意してくれます。 いまでは古典と言え…

地球卒業者18人の過去生/仰げば尊しアルクトゥルース

輪廻転生ものです。 クラウド・アトラスを観た流れで、転生する魂ってやつに想いを馳せていたところ、ふと手に取ってみたのが本書。 エドガー・ケイシーのことから説明すると長くなるが、どうしよう……? まぁさわりだけでも。 この人は無意識状態で病気の治…

ホーリーモーターズ/真夜中のモータープール

レオス・カラックス監督待望の新作(?)『ホーリーモーターズ』観てきました。 ポーラX以来十年以上の沈黙を破り、期待とハラハラの中発表された本作は、さてどんな内容なのでしょうか。 えーと、えーと。よくわかりません笑 説明が非常に難しい。というか…

桐島、部活やめるってよ/完全無欠の空白

桐島は出てきません。ほんのちょっと、網膜に映じる一瞬の残像のようにしか。 そんな男をタイトルにして、どんな映画が作れるのか。話題沸騰。鼻息荒くDVD化を待ってました(映画館行け)。 結論から言うとすごくよかった! いわゆる学園もの、とは言いが…

酒場で格闘ドンジャラホイ

その筋の人には有名らしいが、僕は筋違いでずいぶん長い間知らなかった。 フィンランドのメタルバンド「コルピクラーニ」 けっこう衝撃を受けた。このPVのセンスは脱帽。ギャグかシリアスかわからない、この企画が通るところが世界の広さだろう。 とりわけ…

四川のうた(ジャ・ジャンクー)/老朋友に会う

映画が1000円の1の日に、ジャ・ジャンクー監督『四川のうた』を観る事にした。 映画の舞台は四川省の省都である「成都」である。というか、成都という街そのものが主役といってもいい。僕の好きな街だ。中国に住んでいた頃、何度か彼の地を踏んだ。 数…

いきの構造/天人五衰

朝起きて、鏡を見ると、どこがというわけでもないが、ファンキー度が下がっていた。 じゃあだからといって、引き換えに渋さがアップしているわけでもない。これはいけない。どっちつかずの尻すぼみである。今日は、桜舞い散る陽気な金曜日だってのになんてこ…

ミリオンダラーベイビー/たったひとつの冴えたやり方

クリント・イーストウッドが好きでしばらく彼の監督作品を観ていた。 「ミリオンダラーベイビー」は、女性ボクサーが貧しさから脱け出すためにチャンピオンを目指すというもので、ロッキーみたいなサクセスストーリーなのかと思いきや、後半ガラリと赴きが変…

SPIRIT/侠客として生きる

ジェットリーの遺作‥‥じゃなくて、最後の武侠映画となる「SPIRIT」のレビューを。 重いストーリーではあるが、不思議と後味は悪くない。 なぜか。僕なりの理由としては二つ。 ひとつはこれまでなかなか描かれることのなかった少数民族が登場することで…

サウダーヂ/帰りたい帰りたくない

ずいぶん前に観た映画のタイトルです。レビュー感はほどほどに。 「サウダーヂ」っていうのは望郷とか郷愁という意味のポルトガル語らしいです。 ただし、それだでけでなく、また見ぬものへの憧れというニュアンスもあり、ちょっと日本語にはない独特のコト…

ノートリアスB・I・G/Everyday Struggle―詩篇23

いまに始まったことではないけれど、くだらない行き違いで誰かを悲しませたり、怒らせてしまったりすることがある。 昔から軽率な発言をする人間だったので、しばし反省。なにがいけなかったのかをよ~く考えないと。 こういう時に限ってドンピシャな映画を…

ポンペイ展

ポンペイ――イタリア、現在のナポリのそばに後1世紀まで存在した都市。 一夜にして、というのは大げさだけれども、そう言ってもかまわないほど瞬く間に滅びた、潰えた。 原因はヴィスビオ火山の噴火といわれている。住民たちガス中毒で命を落としていったが…

新世界より&PSYCOPASS/答え合わせはありません

ディストピアものって言えばいいのかな。両作とも超管理社会の物語。 ネタバレ防止のため細かい内容は伏せておきます。 「この世界には君たちの知らないルールがたくさんあります。 が、それを知らないまま、圧倒的な不利に甘んじたまま、それでもゲームに参…

クラウド・アトラス/自由を呼びかける声

現在上映中のクラウド・アトラス観てきました。 月曜は最寄の映画館が男性1000円デーなのでよく利用するのです。 大好きなペ・ドゥナも出てるし、これは観ないといけません。 使命感に燃えて映画館に行ったものの、月曜・雨ときては席はガラガラ。話題の…

エンジンサマー/手を握っていなさい

夏が終って秋になったのに、夏のような暖かい一日が戻ってくることを小春日和という。英語ではインディアンサマーというらしい。 このインディアン・サマーが、文明の滅びた遥か未来では訛って「エンジン・サマー」と呼ばれている。機械の夏=エンジン・サマ…

エル・グレコ展

東京には武術の指導に出向くことがあります。 おかげさまでついでに東京の様々な場所に足を伸ばしすことができます。 さすが世界に誇る大都市です。文化・芸術の一流のものに出会うことができますね。 僕の住んでいる名古屋も規模の大きな文化圏を形作ってい…

かいじゅうたちのいるところ/ママにもママが必要

モーリス・センダック原作スパイク・ジョーンズ監督の「かいじゅうたちのいるところ」を観た。 これを観ようと思っている人はネタバレになるおそれがあるので、ここからは読まないでください。観るつもりのない人は読んで興味が沸いたら是非観ることをおスス…

エウレカ・セブン/アクペリエンス

「エウレカ・セブンAO」はどうでしたか? 僕は見逃しました。 今回は前作のフツーのエウレカの話題を。 「エウレカ・セブン」はアニメなら全話通じて観たのだけれど、なかなか面白かった。 全話を通じてタイトルにテクノ系の楽曲の曲名が付されているのは…

Hワード

今回のレビューはSFです。 邦題は万物理論だが、原題は『ディストレス』 サイエンスライターの主人公が人口の島ステートレスで巻き込まれる宇宙的大事件を描いてスリリングである。 この島では、宇宙の、万物の法則を記述できるTOE(セオリー・オブ・エ…

ムーたち/瞑想の書

これはスゴイ! 何かを突き詰めて考えたら、世界も自分も変テコにならざるを得ないという見本。 登場人物たちは、みな、宇宙の根本的な何かを狙っている。 変幻自在に姿を変える父親が息子ムー男に投げかけるのは、 この世の真理? ルール? 法則? あるいは…

無面目・太公望伝(諸星大二郎)/行き交うものたち

毎度! このたびのレビューは諸星大二郎のこの本です。 中国偽古典ものと言っていいのかな。 言わずと知れたこのブログタイトルのネタ本。 この人の作品はオリジナルも悪くないけど、古典から想を得た作品がぼく的には好みだったりします。 旧ブログの「はじ…

魔術/美術(どみにくver)

愛知県美術館『魔術/美術―幻視の技術と内なる異界』 という長たらしいタイトルの美術展に友達4人で出かけました。 たまたま今日教え子が「アンダルシアの犬」というサルバドール・ダリとルイスブ・ニュエルのコンビで作ったシュールレアリズムの代表的な映…

蒼天航路/命のチカラ

蒼天航路、言わずと知れたアナザー三国志。 乱世の姦雄曹操を主人公とした破格の物語だ。 すべてのキャラ、史実の事件に作者の味付けがしてあって、好き嫌いは別れるものの、他に類を見ないユニークな作品になっている。 読んでいる人も多いだろうから、深く…

フライト/酔いどれ背面飛行で行こう!

プロペラ複葉機か何かで、砂漠や海の上をのんびりと遊覧飛行するなんちゅうのは、とても素敵なイメージです。 ほろ酔いの夜間飛行なんてのもいい。アルコールに寛容だった時代には、寒さをしのぐ為、飛行気乗りも多少ウィスキーを引っ掛けて、なんてこともあ…