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クレバスと炸薬亭

映画や本、お芝居などのレビューを中心にやってくよ。

ナーガルジュナ/世界を押し倒せ

ナーガルジュナは仏教のビックネームのひとりです。龍樹とも呼びます。

八衆の祖と言われ、お釈迦さまの教えを高度に理論家した人として知られています。この人の功績をいちいち上げていくと日が暮れるだろうし、もっと相応しい人がいるかと思うのでやめますが、なぜかとっても惹かれる部分があるのよね。

宮崎哲也が番組で龍樹=ナーガルジュナについて語っていたのが記憶の最初だろうか。違うな。

柄谷行人の本に載っていたような、やばい。記憶が曖昧だが、その名をはじめて知ったのはまだ十代の頃だったかもしれない。

もちろん、だからといって真面目にそんな仏教の先人を追っかけるほど僕は暇じゃなかった。若いだけに、いろんな楽しいことがあったのだ。

だいたいさ、難しそうでしょ、仏教哲学なんて。モテさなそうだし。いまでこそ、仏女とかって寺巡りする女子も増えてきたり、高野山の宿坊に泊ってヘルシーな精進料理を頂くなんて若い方も多いけど、当時は皆無!!!(言い切っちゃダメか)

とにかく龍樹についてもまったく興味の外で、たぶん同じ龍でも村上龍のSM&ドラッグ小説を読んでいたのです。

さて、30代になり、龍樹が再び視野に飛び込んできたのは、何かでインドで新仏教の運動をしておられる佐々井秀嶺氏の映像を観た頃かもしれません。

この方の人生は、中村天風にひけを取らないほど、波乱と冒険に満ちたもので、それはそれとして非常に興味深いのですが、印象的なのは、この人の人生のエピソードに重要なピースとして龍樹が登場することなのです。

佐々井氏は、、仏教聖地である王舎城ラージギルでの活動の終わりに、龍樹と名乗る老人の幻を瞑想中に観ることになり、その言葉に従って、ナグプールに向かうことになります。

龍樹の幻は、南天竜宮こそが汝の法城であり、我が法城でもある、と謎めいた言葉を残して消えてしまいます。その南天竜宮が現在のナグ(ナーガ=蛇)プール(宮)であると思い定めた佐々井氏は、なんのツテもない土地に飛び込んでいくのです。

そして運命は急速に展開してくのですが、それはまた別の話。上の動画を見れば、詳しいことはわかるでしょう。

それにしても神秘的だね龍樹。

佐々井氏も破天荒だが、龍樹もまた、とんでもない半生から仏の道に入ったのです。僕はこういう更生した人が大好きです。孫悟空とか元ヤクザの神父さんとかね。

龍樹は、もともと英才でなにをやっても楽勝で、手ごたえがない。医学から武術から論理学、はたまは怪しげな道術までなんでもこなせた。人生イージーモードじゃねーかと、同じ出来杉仲間と世間をせせら笑っているうちに、はたと気づいた。

こりゃもう快楽しかねえな。と。

名誉も地位もおれらなら思うがまま。そうとなりゃ、もう気持ちいいことたくさんするしかないっしょ。みたいな。

で、透明になる術を使って王宮に忍び込んで、女たちに破廉恥行為をしまくったそうです。

すごい悪いですね。

しかし、何度もやってるうちに、王様の知るところとなり、対策が練られた。

「バカ殿じゃねえんだ、いつまでもおれの大奥を荒らされまくってられるかい! くそガキどもが目にものみせたる」

と、猛り狂った王様がしたことと言えば、何かっていうと、砂を撒いたのね、単純でしょ。これならいくら姿が透明でも足跡が残る。こんなことも予期できなかった龍樹たち、英才だってのも怪しいもんだけど、あっさり龍樹以外の二人は捕まって処刑される。

龍樹はガタガタ王座の裏っかわに隠れてこう願うんだ。

うぉおおお! やべえ! 調子こきすぎた! こっからなんとか無事出られたら、おれ真面目になる! 快楽なんて追っかけてるとあっちゅうまに死に損なうってのがわかったから、本気でちゃんとするべ! だから神さま、このピンチからよろしくサルベージ・ミー!

誓願と決意のかいあって、龍樹は無事脱出!

そっからは快進撃ですわ。龍の世界で経典読ませてもらったり、もうメキメキ力をつけて、いつか並ぶものがないほどのエライ人に!!!!

何度もいいますが、こういう更生ものは好きです。生まれついてのいい子ちゃんより、グッと胸に迫る波及力があるよね。

龍樹に導かれた佐々井氏にも、若き日の性欲にまつわるエピソードがあります。小学生のとき、担任の先生を押し倒そうとしたとか……。すさまじいよね。

ともかくエロも性欲もよりよく開花させれば、器の大きな人物へとあなたを成長させてくれることでしょう。

欲情に溺れる我が身の哀しさよ、とかゆってる場合じゃねーよ。

ムラムラしちゃってどーしよーもないなら旅に出て広大な世界を押し倒すのだ!