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クレバスと炸薬亭

映画や本、お芝居などのレビューを中心にやってくよ。

リアル――完全なる首長竜の日/知恵の輪

最寄の映画館が映画男性1000円の日だったので、観てきました。

完全なる首長竜の日。黒沢清監督。佐藤健綾瀬はるか主演です。

これはいわゆる意識内へ飛び込むインナーワールドアドベンチャーもの(?)です。

夢の中の攻防が繰り広げられるインセプションが引き合いに出されますが、似ているようでかなり感触が違う。

夢枕獏サイコダイバーシリーズみたいな。そんな感じでもある。

意識不明になった最愛の人の心の中に入って、回帰を促すというラブストーリー。黒沢清監督のこれまでの作品の中ではかなりわかりやすいものになっているんじゃないでしょうか。

作品の要となるどんでん返しも予想がつかず、まんまと騙されました。

主人公のカップルと、女医として登場する中谷美紀の存在感にギャップがありすぎてよかったです笑

まぁ、内容とかは置いていて、すごくリアルだったのは、精神内世界の描写です。どうリアルだったかというと、僕がたまーに見る明晰夢の世界と酷似していたこと。

ほんとああいうふうなんだよね。

自分の家や部屋いった馴染んだ空間はリアルなんだけど、外に行くにしたがって、だんだんとあやふやに頼りなくなっていく。

映画では、家の外に出ると、そこは無意識領域に踏み込むことになる、という説明だったけれど、本当にそうなのかもしれない。僕の場合は、霧がかかっているというより、解像度が落ちて、ノイジーになっていく感じだったけれど。

無意識のはるか先に、島があり、そこに太古の首長竜が生きているというイメージは、面白いですね。人間の進化の記憶が貯蔵されている感じで。また自我としての始まりである、幼少期のやましさもそこに息を潜めている。

人間の心って不思議だなと思います。

人が人の心に入れる技術が完成したとき、たぶん、この現実世界を一幕の夢に変えてしまう原理も同じく発見されるでしょうか。そんな気がします。

すべてが一続きの夢なのかもしれません。だとしたら、誰が何から醒めるのか? 

複雑に入り組んだ知恵の輪みたいなものですが、挑戦してみる価値はありそうだよね。