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クレバスと炸薬亭

映画や本、お芝居などのレビューを中心にやってくよ。

よげんの書

同僚の方が、ゲーム科の生徒を引き連れて合宿に行くという。

「面倒くさいな~」というメールが入ったので、僕は「まぁ、がんばってください」と返事を書いた。しかし、何か足りないなと思った。

カニとクリームの入っていないカニクリームコロッケのような物足りなさを感じた。圧倒的な欠落感である。

そこで思案した僕は、

「○○に注意してね」

と付け足すことにした。○○は生徒の名前ね。

そんなことをすっかり忘れていた昨日、生徒のひとりが「どうして担任の先生に『○○に注意してね』って送ったんですかぁ?」なんてたずねてくる。

なぜ、講師間の私用メールを知っているのかと訝しく思ったのだったが、聞いてみると、こんな話だった。

なんと○○が集合時間に遅刻して新幹線に乗り遅れたというのだ。

当該生徒○○ではわかりにくいので仮に名を隙間風通(すきまかぜ・とおる)としておく。

びっくりした担任が僕とのメールの内容を生徒に漏らしたらしいのだ。

のちに直接担任から驚愕の眼で問い詰められた。

「なぜ隙間風に注意しろってわかったんですか! あいつそれだけじゃなく合宿中ずぅーと足を引っ張りやがりましたよ。隙間風の野郎め!」

「いや、実は僕実家の商売が預言者でして、才能なかったんで弟に家業継いでもらったんですが、それでもやっぱり血ですかねぇ、たま~にロト6の3等が当たるくらいの確立で当たるんですよ」

みたいな感じ? 嘘です。

よくわからない。なーんも考えてなかった。ただ隙間風のやつがひょいっと脳裏をかすめたんだろう。隙間風的に。

僕はよっぱらった席で、ある方の特殊な性的経験を当てたこともある。具体的には言えないが「あんた、3Pしたことあるだろう!!!(あ、言っちゃった)」と。

下ネタがキライな人は「性的経験」を「マリオカート」に置き換えてください。3人プレイは普通です。

ともかくそういうのはある。不思議といえば不思議。人間には未来(もしくは恥ずかしい過去)を観る能力があるといえばあるし、言葉にしたことが現実を引き寄せたとも言える。

この程度のシンクロニシティはとりたてて言うほどのことではない。頻繁に世界のどこの片隅でも起きているだろう。

たぶん僕を嘘つきにしないために現実の方が帳尻を合わせてくれたんだと思う。人間ごときが未来を予見できるなどとは思い上がりである。現実はいつも優しいのだ。厳しいという意見もあるが、大きな視野でみれば、限りなく優しく甘い気がする。

林家ペー&パーのハネムーンを想像してみて欲しい。そんな甘さ。

自分に超能力があると自慢したかったわけじゃない。そんなものはない。スプーンひとつ曲げたことはないし、近頃じゃ、未来はおろか、昨日の晩飯の献立すらわからない始末だ。

ただ「3P」という単語を使ってみたかった、というのはある。

断言できるのは、期待して何かを問われれば、次は必ず外れるということである。作為が入れば未来はすり抜けていく。

名うての予言者にしたところで重要な未来の岐路については軒並み外している。有名になる前には当てていても、メディアに取り上げられたりした途端、的中率はグンと下がるのである。

そんなもんだろう。

すべてを忘れたころにまたポロっと言ったことが当たるかもしれないが、それはどうせ世界の命運を占うような大事ではなくて、誰かのどーでもいい性癖だったり、あなたのどーでもよくない性癖だったりが関の山でしょう。

そーゆのってウワゴトみたいなもんなんだよね。真面目に取れば翻弄される。失望させられる。

どーしても失望したくないのなら、コツがある。

未来を予期せず、期待もしないってこと。そんなものは実在していないのだと、あるのは、ほらここ「現在」だけだと気付くこと。