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クレバスと炸薬亭

映画や本、お芝居などのレビューを中心にやってくよ。

夏の怪談/消えた手帳

夏といえば怪談!!!

とはいえ、僕はまったくと言っていいほどそういう体験がないので、基本、知り合いの話になっちゃいます。

それではスタート。どろどろ

友人のN君はよく通る地元の道のある交差点で車を止めた。そこは出勤ルートなのだそうだ。

信号待ちの間、すぐ隣の電信柱を見ると、そのボタン式信号機のボックスの上に一冊の手帳がある。

今日もあるのか。

とNは思ったという。なぜなら、いつもその交差点を通るたびにその手帳を見かけていたからだ。

ずーとあんなぁ。

くらいの気持ちで毎度そこを通っていたらしいのだが、その日にかぎってちょっと気になってしまったという。信号が赤の間に車を降りて、手帳を手に取って開いてみたという。

その瞬間、Nは「うわぁ」と怖気をふるって手帳を閉じた! 

なぜなら、そのページには、死に行く男性の遺言めいた言葉が溢れていたからだ。どうやら持ち主はタクシーの運転手だったらしい。残される家族へ、ふがいない自分を許してくれという謝罪の文句がびっしりと綴られていた。

友人は、慌ててボックスの上に手帳を戻し、車を発車させた。

が、仕事帰り、また同じ道を通ると、今度は手帳がない。どうしてだろう? いままで雨でも晴れでもあそこに手帳が置いてあったのを見た。数ヶ月置いてあったものが、いまになって突然誰かが持ち去ったのだろうか。

それもよりによって、自分が手帳をのぞいた日に無くなるなんて……

友人は不思議に思ったが、その後はとくに気をとめることもなく、日常を過ごした。

それから数日後、家でテレビを観ていると、港から男性の水死体が引き上げられたというニュースを眼をしたという。

へぇ~

くらいにしか思っていなかったのだが、その名が報道されると衝撃のあまり鳥肌を立てて固まってしまった。

なんと、その名は、あの手帳の持ち主のものだったからだ。

手帳は友人を介して何かを伝えたかったのだろうか。いまとなってはすべてが謎に包まれている。