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クレバスと炸薬亭

映画や本、お芝居などのレビューを中心にやってくよ。

黄金を抱いて翔べ!/何いちびっとんねん

$続・エビで龍を釣る

金は金属の中でもとっても重い物質だ。

抱いて飛ぶには荷がかちすぎる。そんな突っ込みを踏まえたうえで、不可能性を押して「翔ぶ」しかない

高村薫原作、井筒和幸監督のクライムムーヴィー「黄金を抱いて翔べ」であります。

銀行の地価に眠る何トンという金塊をワケありな男たちがチームを組んで狙うというケイパーものなのね。

原作読んだ覚えあるんだけどすっかり忘れてた!!!もはや記憶の痕跡もない。か、もしくは原作をかなりの変更があるか、である。

ともかく見てもらいたい。井筒監督の作品は「パッチギ」とか前作の「ヒーローショー」とかね、すごく好きなものも多いの。

井筒監督の描く暴走する若者たちはいつも美しい。と、思っていたのだけれど、美しいだけでは済まなくなってきた前作、罪に汚れるだけでなく、それを他人になすりつけるようになる。それじゃフツーの大人だ。

今回の映画のおっさんたちはとっくに汚れているがゆえに最後の瞬間だけはどこか潔い。

「こんな人生いらねえよ」というハルキに対し、妻夫木聡演じる香田はこたえる。

「捨てるところがねえのが人生だろうが」と。

まったくそのとーりです。はい。

ほとんどが無傷ではすまない、というかやっぱ死んでしまったりするんだけど、計画自体は成就する。しかし、ブツを山分けする仲間もいない成功にどんな価値があるだろう。

そんな寂しさをオープニングとエンディングに浅野忠信演じるジャイアン(笑)北川は漂わせてる。

札束はただの紙だ。金塊だけは国家が滅んでも変わらない。そう見抜く男であれば、金塊ですら血の通わない鉱物にすぎず、抱えて翔べば、必ず墜落することをわかるべきだったはず。

でも、それをうすうす知ってても、認めようとしないところが、この映画の男たちの魅力なんだろうな。