読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

クレバスと炸薬亭

映画や本、お芝居などのレビューを中心にやってくよ。

ジャンゴ/農場爆破の作法

なぜかよくわかりませんが、アクセス数が新記録です。

お盆に入って時間のある方が増えたのでしょうか。こんな辺境のブログにまで迷いこんで頂いて感謝の気持ちでいっぱいです。

TSUTAYAで『ジャンゴ』がレンタル開始されてたので借りてきました。タランティーノ最新作だね。とてもよかったです。

暴力の突発性は北野武映画とはまた違ってハッとなる。

楽しくも計算高い駄弁があるからかな。タランティーノの映画で愚にもつかないお喋りが演じられているときは、物語が猫科の猛獣のように身を撓めて力を溜め込んでいるのだ。

びょんっ!

と次の瞬間には、一揆に流れが展開し、観客は「へ」と思う間もなく奔流に巻き込まれていく。このスリルがいいよね。

今回はタランティーノ自身も主演していてよかった。あっという間に殺されたけど笑

面倒なので、あらすじは説明しません。

アメリカに奴隷制があった時代。南部の話です。現在日本ではまだこれほどはっきりした「支配者」(ディカプリオ)というものにお眼にかかったことがない。もちろんこれほどの隷属がないからなのだが。

それにしても人間を犬に食わせる場面というのは、映画でもジョニー・トーのエレクションくらいでしか観たことはないかったよ。

そんな暴力的なまでに差別構造がきっちりしていた世界で、それを認めない男シュルツ博士と繋がれざるものジャンゴ(Dは発音しないんだぜ)が小気味よく暴れまわるのだ。

痛快である。

白人におもねるスティーブンスという執事は黒人でありながら、唯一ジャンゴに殺される。奴隷であることに過度に適応してしまったからで、そこには苦しみがない代わりに自由への渇望もない。

ディカプリオ演じる農場主は骨相学を援用しつつ、ニガーの中にも1万人だか100万人だかにひとり賢いものがいる、と持論を披露するのだが、ジャンゴは特別に賢いニガーではない。

賢いというならドイツ語も喋れるブルームヒルダの方が賢い。そうじゃない。

ジャンゴが希有なのは、100万人の渇望を体現する数少ないニガーだからなんだ。