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クレバスと炸薬亭

映画や本、お芝居などのレビューを中心にやってくよ。

岡本太郎

テレビを見ていたら……といってもネットでのテレビ映像ですが、岡本太郎の名言が紹介されていました。

名言そのものは多くあるので、それよりも、大阪万博での太郎のエピソードが気に入りました。

進歩と調和というコンセプトの万博に、太郎は進歩も調和などという人間の小賢しい観念を打ち砕くようなプリミティブな作品を作りたかったそうです。

それが太陽の塔なのです。

丹下健三設計の建物の天井から突き出すカタチで屹立した太陽の塔。それも太郎の希望だったそうです。これはコンセプトとは真っ向から対決する明らかな破壊の意思ではないでしょうか。

当時の万博に足を運んでみたかったものです。どのようにそれは見えたでしょうか。

では、太郎は進歩と調和に反する野蛮な男だったのか。そうではないと思います。

野蛮に見えるほど、純粋でそして洗練された感性の持ち主だったはず。結局、時は流れ、万博の後に残るのはほかのどんなパビリオンでもモニュメントでもなく太陽の塔だけなのです。

高度経済成長の日本人が想像する発展した未来像。そこにはあんな塔はないでしょう。それは想像を超えた超未来の何かであり、また僕らが忘れ去った過去の遺物のようでもあり、はたまた遠い星系から来た闖入者にも映る。

友達であんな男がいたら暑苦しそうでイヤですが、それでも太郎の持っている迫力とゆるぎない意志の力には打ちのめされます。

出来合いの概念を絵や形で補足しただけのものがアートとして流通しているのが現代だとしたら、太郎の生きていた時空はもっとわけのわからないものです。

そこには生の生命力があり、擦り切れた概念では追いつけない感覚の跳躍があったはずです。

芸術家とはそういうタイプの人間であって欲しいと願うのですが、それは少し過酷な注文でしょうか。