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クレバスと炸薬亭

映画や本、お芝居などのレビューを中心にやってくよ。

凶悪/悪人崇拝

$続・エビで龍を釣る

凶悪!!!!!

パンチのある映画です。キャスティングの妙が光る。というかもはや反則に近いヤバさ。

山田孝之の記者藤井が思いつめて、煮詰まって、正義と使命感という狂気の淵に落ち込んでいくのを見つめる、これはフリーフォールのような映画です。

もちろん、リリー・フランキーピエール瀧の凶悪なセットも圧巻です。あらすじを説明したいのですが、いつものようにめんどくさい笑

死刑囚が自分の余罪を告白し、もうひとりの極刑に値する極悪人を司法の手にかけさせようとするのですが、これが実在の話から作られた映画だというから驚きです。ここには血生臭いリアリティが色濃く立ち込めているのでしょう。

あまり詳しくレビューするより実際に観てもらいたい映画です。後味は保証しませんが、遺族がまだ存命であるこの事件を映画する、その覚悟と決意、興味本位でもなければ面白半分でもない、ある使命感があっての映画化でしょう。

エンターテイメントとして楽しめる作品ですが、それだけではない。人間のほの暗い深みへと誘う傑作だと思います。

前回の日記で親鸞の本を呼んでいるといいましたが、これほどの悪人ですら、念仏で救われると親鸞は言うのでしょうか。それでは悪とはなんでしょうか?

そのように問うと、この映画は宗教性すら孕んだ問題作にもなりますね。物語終盤、暴虐を尽くした須藤が死刑を控えてクリスチャンになるのですが「そんなことで簡単に救われてたまるか」と彼の事件を追ってきた記者藤井は突きつけます。

生きる喜びも、安心も、おまえは知ってはならない。

まぁ、その気持ちはわかりますよね。でも、そんなどん底の悪人ですら救ってしまうのが神の光であり、阿弥陀の本願でなくてはならない。それもある立場からは掛け値なしの真実でしょう。

答えは出ませんが、そんな重い問いを発しているこの映画。でした!

悪人といえば、これ。お馴染みVICEの映像ドキュメンタリーです。ベネズエラの悪人崇拝。

絶対不変の善を信じられなくなった者は、身近によりそってくれるなら悪人ですら崇める。いや悪人こそが、所詮多かれ少なかれ悪に染まった我々の心情を本当に理解してくれる。そんな思いもあるのでしょう。

義賊イスマエル。彼と彼の仲間たちの恩寵が、穢土に生きるほかない僕らの頭上に降り注ぎますように!