読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

クレバスと炸薬亭

映画や本、お芝居などのレビューを中心にやってくよ。

言語都市/ゲンゴの死

ひじょーに込み入った設定のSFであるので、説明の不備を覚悟して頂きたい。

チャイナ・ミヴェル『言語都市』

$続・エビで龍を釣る

これはどんだけ未来なのかわからない未来のストーリーなのであるが、人類らしき生き物は他の星に移り住んでいる。そこにはホストとかアリエカ人とも呼ばれる先住者が住んでいるのだが、その生き物の言語はものすんごく特殊なのです。

どう特殊かというと、

二つの口で別々の単語を話す。その重なり合いをもってひとつの意味を成すのである。しかもそれは「ゲンゴ」と呼ばれ、魂というか精神の内容と直結しているので、決して彼らは嘘をつくことができないのです。

人間は、彼らとコミュケートすることができない。なぜなら口がひとつしかないから。いや、同時に二つの音・単語を合成してみても、それは彼らに言語として認識されない。

ではどうすればいいのか。そこに大使という特別な人間が登場する。彼らは一卵性双生児のようにDNAレベルで同期したペアで、さらにテクノロジーのリンクで精神もシンクロしているので、彼らのペアが同時に喋るホストの言葉だけが、ホストに通じるのだ。

ややこしいでしょ。

ここからさらにとんでもない崩壊とサヴァイバルの様相が描かれるのだが、それは本作を是非実際に読んで楽しんでもらいたい。

言語というものが孕む二重性をここまで直截に表現した作品は珍しいのではないでしょうか。言語だけでなく、この作品世界は二重性を帯びている。恒常宇宙と呼ばれるイマーと通常宇宙の往還がもっとも顕著な部分だ。

過去作の『都市と都市』にもあったテーマがここでは宇宙次元のレベルで反復されているようにも見える。面白いので手を取るべき。

マクロスなどの異種族コミュニケーションものが好きな人にもよいでしょう。これは無理解と断絶の狭間に橋をかけようとする者たちの物語です。