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クレバスと炸薬亭

映画や本、お芝居などのレビューを中心にやってくよ。

ヘルボーイ・ゴールデンアーミー/弾かれ者の数え歌

ロッド&リールの巻(レビュー)

アウトサイダーの物語も、ここまでくると、人間ではなく、あいつらに肩入れしたくもなる。

あいつらとはあの愛くるしいモンスターどものこと。異世界からはみ出て人間と交わったものの、やっぱり村八分にされてしまう。

まぁ、妖怪人間ベムのテーマでもあるよね。マジョリティからこぼれ落ちた弾かれ者の哀しみみたいなもの。今回は古代のエルフたちのテロリズムから、モンスターは人類を守る。

でも、もうこれが最後だ。

もうやってらんねえ、といわんばかりにラストでは、ヘルボーイとその仲間たちは、人間に飼いならされることをやめる。

前作で、ヘルボーイが世界を滅ぼすほどの脅威であることが知られたが、人間への信頼をうしなったヘルボーイは今度こそ地球を滅ぼすのかもしれない。

いいじゃないか、そんな物語も見てみたい。

異質なものへの選別と排斥の原理は消えたりしない。モンスターたちを追い出したとしても、人間は自分たちの内側から新たなバケモノを生み出すだろう。

弾圧する対象を生み出し続けることでドライブし続けるのが人間の世界だからだ。

前になんの気になしにツィッターに僕はこう書いた。

「異教徒をもっと迫害したい。殲滅したら戦う相手がいなくなったので、分派し、異端を生み出しました。そいつらも火炙りにしたけど、ちょっと物足りなかったので、友達と家族の半分を魔女に仕立てあげて鉄槌を下しました。……やがて、とうとうたったひとりの正統派になったのはいいけれど、神様も見当たりません」

神様も見当たりません。

そうなのだ、異質なもの、不可解なもの、隔絶したものたちを追放したとき、神様の存在も感じられなくなるだろう。

なぜなら、この大いなる多様性を創造したものきっと神様だから、そいつを単調で均一なものにするのは始まりの意志に逆らっているのに等しい。

ヘルボーイは地獄から来ただけで、地獄を背負ってきたわけじゃない。彼もまたライオンと羊とが仲良く寝そべる楽園を夢見ているのだ。