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クレバスと炸薬亭

映画や本、お芝居などのレビューを中心にやってくよ。

カナリア/スーパーサイヤ人襲来

カナリア、前から見たかった映画でした!

明らかにオウム真理教をモデルにした教団ニルヴァーナの崩壊後、児童相談所に預けられていたニルヴァーナの子供光一が生き別れになった妹を探して旅をするというロードムーヴィーといってもいい映画です。

途中で出会う、これも恵まれない境遇の女の子ゆき。その他レズビアンのカップルとか、ニルヴァーナの元信者たちとか、いろんな人が彼の旅路と交錯します。

特に旅のパートナーとなるゆきを演じる少女の好演は素晴らしいです。教義の呪縛に苦しむ光一、またテロ事件を起こし逃亡した光一の母道子のその後は?

オウムの傷跡が生々しく残る現代日本。震災の前は、オウム後、オウム前と時代を大まかに分けていたように思います。それだけこの事件は聖俗の境界線とその危うさを考えさせられる出来事だったのでしょう。

旅の途中で万引きをし、体を売ろうとするゆきに「地獄に落ちるぞ」と諭す光一ですが、自分の教団が無数の罪のない人の命を奪ったことには説明がつけられません。聡明なゆきはそこを容赦なく突きます。

しかし、最後のオチというか光一のスーパーサイヤ人化はちょっとないなぁ。

映画のリアリティについて先日友人と話していたのですが、この映画が要求するリアリティからするとあれは少しタガが外れすぎていたのかもしれません。

ネタバレになるので多くは言いませんが……うーん。

映画が映画であるためには、ある隙間というか歪さが必要でしょう。すべてに滞りなく説明をつけてしまったら、ただの環境ムーヴィーかテレビドラマになってしまう。説明のつきにくい解釈次第のブレ幅を持っていない作品は豊かさを欠いてしまいますが、安易に不条理に流されてしまうのも危険です。

そのバランスをどう取るか。ちょっと考えさせられる作品でした。