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クレバスと炸薬亭

映画や本、お芝居などのレビューを中心にやってくよ。

プリズナーズ――独房でないのなら

これは傑作ですね。

ただし、重くヘヴィーな内容かつ、上映時間もけっこう長いので覚悟が必要です。

あらすじとしては、感謝祭で隣人の家を訪れたケラー一家は、くつろいでいるうちに、自分の娘のアナと友人の娘ジョイが見当たらないことに気付く。

そこから幼児誘拐事件に翻弄される、ふたつの家族の苦悩、そしてヒュー・ジャックマン演じるアナの父親の狂気の暴走がはじまります。

この映画は本当にタイトルが秀逸で、まさに囚人、囚われの身になっている人たちの物語なわけです。

はじめに子供たちが遊んでいるモルモットだかハムスターだかのシーンから、自殺したケラーの父親が牢獄の看守だということから、すべてが「囚われる」(しかし『囚』という感じはまさに表意文字だなぁ)ことをめぐって繰り広げられる。

物理的に精神的に、みんなが囚人という恐るべき事態!

そして各所に強調される信仰とそれへの反発。人類は神の囚人だという意識がどこか基調低音になって響いているような気がします。

神にかわって人の自由意志を奪う者は、すべて因果が巡り、自らも囚われるという結果が振りかかる。それはもう恐ろしいくらいにリアルで押し迫るものがある。

特に僕のような閉所恐怖症気味の人間にはかなりキツイ映画でした。観てて胃が痛くなった。それでも是非多くの人に観てほしい映画です。

謎とその追求においても存分に楽しめる作品です。

ジェイク・ギレンホール演じる刑事の指輪がフリーメイソンのものであることや、ヒュー・ジャックマンの父親が世界の終末に備える(「Preppers」というそうだが)クリスチャンであることも見逃せない。

RV車の動く閉鎖性も怖いものだと思いました。

人間すべてが神の囚人だとしても、願わくばせめて孤独に悶える独房の囚人でないことを……。