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クレバスと炸薬亭

映画や本、お芝居などのレビューを中心にやってくよ。

ピンポン

ロッド&リールの巻(レビュー)

アニメのピンポンを観終わった。

原作大好きなだけにアニメも楽しみにしてたけど、予想以上によい出来だった。独特の絵のタッチもかなり忠実に再現されてたんじゃなかろーか。

窪塚洋介主演の実写版もよかったし、どれもハズレなしとは幸福な作品でしょう。

このアニメ何がよいかというと……ま、原作から引き継がれてる部分なのだけど、好きなモノをずっと好きでいなくてもいいということです。

好きなモノを愛せなくなってしまっても、諦めても、遠巻きにしてもいい。そしてまた戻ってきてもいいし、戻ってこなくてもいい。そんなことを教えてくれる作品です。

もちろん第一線のプレイヤーでなくてもいい、コーチでも、サポーターでも、ファンとしてでもそれに携わってもなんでもいいんだという風通しのよさに充ちています。

フィクションの世界であれば、好きなものを貫き通すという、そんなキャラたちが喜ばれたりするわけね。現実にはそういうわけにはいかなかったりするだけに、非現実的なまでに愛するモノを愛し続ける人たちが観たくなったりする。

でもさ、

人は挫折する。飽きる。幻滅する。フツーに自然に。

そうでなくてもみなが才能と環境と運に恵まれているわけでもない。

例えば野球。

どこかで岡田斗司夫さんが言ってたけれどさ~

プロにならなくても野球選手でいられるわけよ。最前線のトッププレイヤーでなくてもずっと野球を続けていられる人だって「本当に好き」な人だよね。

それで食っていけなくても、生きていくという大きな流れの中に大好きなものを組み込んで、細々とでもいいから充実して暮らしていけることのほうが幸福だったりしないか?

今回のアニメ版では、海王の風間が、卓球の呪縛から逃れるところが清々しく描かれていてよかった。卓球の権化とも言える風間がペコに倒されることで解放された。

スマイル「凡庸な選手、好きですよ」

風間「やだよ」

スマイル「卓球だけに賭ける人生もいいじゃないですか」

風間「やだよ」

後半のやり取りは、原作にはなかったくだりだ。ラストの海岸のシーンである。

ナショナルチームから外された風間が愚痴っぽくスマイルと話している。凡庸な選手で終わるのはイヤだが、卓球だけの人間になるのもイヤだという、なんとなく欲張りで中途半端でブレた人間になっている。

でもさ、欲張りで半端でブレた人間で何が悪い。不純物のない鋼のような人間になってハッピーか?

そんなメッセージが僕らを逆説的に前向きに戦わせてくれることだってある。

他にも僕の好きな孔文革のこととかいろいろあんだけど、久しぶりのブログにしちゃ長文になりすぎるのでここまで。