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クレバスと炸薬亭

映画や本、お芝居などのレビューを中心にやってくよ。

生と死のハイタッチ

祖母が亡くなった。

高齢のためいつ「その時」が来ても不思議ではなく、覚悟はしていたもののこうもあっけなく終焉が訪れるとは。

キリストのごとく復活する気配もないので、名残惜しいもののお別れすることにした。

ばあちゃんは明るい性質ではなく、同じ屋根の下に暮らしていながら心から笑った顔を見たことがなかった。せめて天国ではたくさん笑って欲しいと思う。

さて、この世はうまい具合に出来ていて、誰かが死ねば誰かが生まれるらしい。生と死はいつも入れ代わり立ち代り交錯し合っており目まぐるしい。

と、いうのも、祖母が亡くなった本年に妹が出産予定だからだ。

迷信だとは思うが、死という禍事を跳ね返すため、うちの地方では妊婦が葬儀に出席する場合お腹に加害を入れる習慣がある。

別に祖母が孫の子供を連れていくとは思わないが、死そのものにそういった吸引力があると昔の人は見なしたんだろうね。

生と死のベクトルがここではせめぎ合っている。

一方は暗がりの中から這い出ようとし、一方はそこに還ろうとしている。

命は一瞬の強烈なスポットライトを浴びているようなもので、眩しいと眼をしかめるのもつかの間すぐにまた最初の暗闇に戻っていくのでしょう。

この一瞬の閃光の間に何を得るのか、何を知るべきなのか、そのあたりを突き止めるべく人間はあれこれ頭を捻ってきたんだろうけど、なかなかこれといった最善の答えは掴めていない。

かといって、何もしないわけにはいかず、せかされるまま流されるままに生きているけれど、果たしてそれが大切なことなのかどうかは判断がつきかねる、ってな具合で、なかなかすっきりしないもんである。

86歳で亡くなった祖母の歳まではまだたっぷり時間はあるが、それでも暗がりは近づいてきている。黄昏の気配がにじみだす。

時間がない。急がなきゃ、でもどこへ!?