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クレバスと炸薬亭

映画や本、お芝居などのレビューを中心にやってくよ。

破壊か創造か

写真の建物をご存知だろうか?

中央に鎮座するのは、踊るシヴァ神ナタラージャの像である。とはいえ、ここは寺院ではない。

欧州原子核研究機構=CERN 

全長27キロの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)を有する先端科学施設だ。

先端科学施設とヒンドゥーの神の取り合わせ、奇妙といえば奇妙だ。

LHCは、凄まじい速度とエネルギーで粒子と粒子を衝突させ、宇宙の原初の状態、つまりビッグバンに迫ろうという目的で建造されたものだ。

マイクロブラックホールの生成が取りざたされた時は、ブラックホールが成長して地球を飲み込むのではないかと恐れた少女が恐慌のあまり自殺したとか。

もちろんこの加速器で生成できるほどのブラックホールは小さすぎて刹那の寿命しか持たないらしい。心配は不要です笑

しかしまぁ、天地創造をシュミレートする実験を行う施設に破壊の神シヴァを据えておくというのはなにやら相応しいような気もする。

確かにブラックホール云々の破壊的なイメージにはぴったりかもしれない。

陰謀論めいた憶測もいろいろ飛び交っているようですが……

ただ、シヴァが破壊神だからといって触れるものすべてに害をなすような禍々しい暴れ者かというと全然そうじゃない。

そもそも「シヴァ」とは吉祥の意味だそうである。

再創造のための破壊、それは避けては通れない。料理を作るのだって、いったん素材を切り刻む必要があったりする。

粒子を衝突・崩壊させ、そこから新たな未知の現象や物質を取り出すという行為。

これは破壊なのか創造なのか???

究極の高エネルギー状態においては破壊と創造に別はないのかもしれない。

そんな両義的な実験を見守る神としては、やはり複雑で多義的な性質を宿すシヴァはとっても適任だと思う。

誰が置いたか知らないが、なかなか粋なはからいではないでしょうか。