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クレバスと炸薬亭

映画や本、お芝居などのレビューを中心にやってくよ。

ヒメアノ~ル 埒外の民

 

古谷実原作の漫画作品の映画化、ジャニーズの森田剛くんが同姓の森田という役柄で演じているのですが、これがかなりおっかない。見ててイヤな意味で胸が締め付けられる映画になっている。

 

「心の闇」というワードは手垢がついてるけど、本当の闇は心が死に絶えてしまった状態なんだよね。黒子のバスケ脅迫事件犯人の陳述などと読み合せると考え深い。

 

二度目を観るのが勇気が必要だな。

 

ところどころに入る秀逸なお笑いパートが続く陰惨なシーンをより強烈にしてるところがえげつない。

 

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ヒロインの体当たりな演技も凄みを感じました。

 

あらすじとしては少年期のいじめによって何かが決定的に狂ってしまった登場人物たちが繰り広げる遠くて近い因縁の物語だ。被害者が加害者に成り代わっていく様はグロテスクだ。一方ただ被害者であることしかできない名前も出てこない無数の人たちがいる。

 

本当にゴミ屑のように殺人者森田の手にかかって命を奪われていく普通の人たちがいる。殺しの爽快感を徹底的に奪っているため、あっけなく殺されていく人たちのその死にゆくさまがひとつひとつ痛いんだよね。

 

観ながらたぶん身体に力が入っていたんだろう、観賞後、すっごくダルくなった。もしかしたら午前中の診察で血を抜かれすぎたからかもしれない(係の人が手こずってけっこう血まみれになった笑)。

 

ネタバレというような作品でもなさそうだけど、クライマックスのわずかに、本当にわずかに垣間見える森田の人間らしさが実に切ない。黒子のバスケの犯人の言葉「埒外の民」という言葉が脳裏をよぎる。

 

近くに幼い子供のいる生活をしているので、誰もが殺人者としては生まれてこないという唖然とする事実が胸に迫る。あの無垢な可愛らしさが、どこかの時点で徹底的に破壊されてリカバリーできない狂気にまでメルトダウンしてしまうなんて

 

ただ、逆に言えば完璧な愛情を受けて育った人間もいないはず。誰もが森田と無縁ではない。ダークサイドに堕ちかけても普通、何らかの人的ネットワークのどこかでケアされ救われる。それを持たない人間。失ってしまった人間の悲しさにただ顔面を蒼白にするくらいできなかった。

 

とにかくコンディションを整えて観賞に臨まれたい映画です。

 

ただ、いじめっ子はみんな見るべき。いじめが何を生み出すか。はっきり思い知ったほうがいい!!!