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クレバスと炸薬亭

映画や本、お芝居などのレビューを中心にやってくよ。

シン・ゴジラ

IMAXにて観賞。

 

いわずと知れたゴジラ最新作。原点回帰にして最前線ということで、いろいろトラブルもありつつもしっかり楽しんできました。

 

まず出だしで面食らう。ゴジラゴジラゴジラがぁああああ(一応ネタバレしないようにします)となる。

 

庵野監督のテイストが存分に発揮されているのも好き嫌いが別れるところだけれど、このゴジラに限っては個人的には「好き」に転がったようだ。超早口で官僚的・科学的・政治的用語をまくし立てるキャラクターたちはまるで前衛(?)演劇の舞台に立っているようで見応えがあった。

 

に比べてあくまでゆっくりなゴジラの進行。二つのタイムスケールが平行に流れているようで、緩急のメリハリが独特の効果を生んでいると思う。

 

shin-godzilla.jp

 

そしてゴジラより暴れる石原さとみの唇!!!!

 

なんだかよくわからんが破壊的でした。

 

日米関係や災害対処など織り込まれたテーマは無数にあり、また複雑だけれど、それらを2時間にまとめ上げている剛腕には感心致しました。

 

つうかこれエヴァじゃねーの? の声はわかります。わかるのですが、個人的にはあまり気にならず、むしろそれはエヴァというより庵野印と思えば納得でしょう。時代に突出したエヴァンゲリオンという作品を誰も忘れてくれないし、同時に正しく思い出してもくれない、という悲劇があるのでしょう。

 

なんとなくのエヴァっぽさ、「ああ~あれね」感に僕らは捕らわれ過ぎているのかもしれません。(まぁ、音楽のエヴァ感はさすがに言い訳できない)

 

しかしそれを言うなら、エヴァがまだ影も形もない頃のナウシカ巨神兵庵野氏が担当したと言われている)もエヴァっぽかったよな、とか。いろいろ因果と時間軸を無視してエヴァっぽさを指摘することができる。

 

巨大生物クライシスもので言うなら新井英樹の「ザ・ワールド・イズ・マイン」なども思い出す。なにより僕はプロジェクトXに近い映画だったような気がする。これはみんなの工夫とチームワークで危難を乗り越える話だからだ。

 

プロジェクトX 初代ゴジラを作った人たちのやつも併せて観ることをお勧めします。

 

www.youtube.com

 

さて、代わりに欠落していたのは個人のドラマ性だけど、その部分はあえて削ったとの情報もある。確信犯である。そのあたりの決断は功を奏しているんじゃないかな。甘い家族愛とかを絡められるよりよっぽど潔い。

 

なによりゴジラの無目的感もよかったと思う。人間の敵なのか味方なのか、そんな人間視点のありふれた解釈にはまらない存在感がある。ハリウッド版ゴジラが他人の諍いに介入し強制的に解決する、まさにアメリカそのものの傲慢さを湛えていたことを考えたら今回のゴジラには圧倒的に無色透明で人間の感情移入を拒んでくれた。

 

僕の持論でいくと、よい怪獣映画を人間よりも怪獣を応援したくなる作品のことを言う。今回のゴジラはその意味で最高の怪獣映画でした。