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クレバスと炸薬亭

映画や本、お芝居などのレビューを中心にやってくよ。

師匠と呼ばないで(りゅうおうのおしごと)

一般の生活で誰かに「師匠」と呼ばれることはギャグか冷やかしでないかぎりあまりない。

 

師匠と弟子という関係が成立しているのは現代は非常に限られた業界だけだよね。

 

今回はライトノベルをひとつ。タイトルは『りゅうおうのおしごと』である。

この「りゅうおう」という肩書き、そう竜王だ。でもドラクエ1のラスボスのことではない。将棋のタイトルのことなのだ。

 

GA文庫|「りゅうおうのおしごと!」特設ページ

 

この小説のシリーズは若くして「竜王」のタイトルを得てしまった10代の棋士が、小学生(女子)の弟子を受け入れて、自らも成長を遂げていくという物語となっている。

 

キャラ造形やハーレム展開はいかにもラノベっぽいのだが、将棋に関する描写はとってもリアルで面白い。棋士女流棋士の違いなんて知らなかったし、奨励会とか研究会とかの内実にも無知であった。

 

将棋そのものというより将棋界なるものの実体がおぼろげながら見えてくるのがまず楽しい。なにより棋士たちが抱える苦悩や悲嘆や歓喜を非常にうまく書いてくれている。

 

アドバイザーがついているにしろ、毎巻どこかで泣かされてしまうのが憎い、憎たらしい。ドラマの作り方がコンパクトで巧妙なのである。泣かせどころの作り方がとってもうまい。勉強になるなぁ。

 

好きなキャラは桂香さんです。天才でもなければ根っからの将棋好きでもないのに将棋界に足を踏み入れてしまった女性。おっぱいが大きい美人で、主人公の師匠の娘さんで面倒見のいい疑似母であり姉であるという役回り。

 

この小説を読んでいて一番応援したくなるのが桂香さんなのです。他のやつらはいろいろあっても所詮天才(!)

 

最後の最後で感情移入ができにくい。その点桂香さんは真面目なのが取柄なだけの凡人なのです。小説を読んでいるほとんど人がそうであるように、ただ愚直に努力を積み重ねていくしかない。それでも思うようには勝てない。

 

女流棋士になる制限年齢ももうすぐだし、頑張ってほしい!!!

 

と、フィクションのキャラに入れ込んでしまう、入れ込ませてしまう力がこの作品にはあります。将棋、久しぶりに打ってみたいなぁ。